占有移転禁止の仮処分があらためて行われました

京都大学が、1月17日の占有移転禁止の仮処分で特定された寮生以外の者が現棟に居住しているとして、京都地方裁判所に「債務者不特定の占有移転禁止」の仮処分の執行を申し立て、同裁判所が3月4日に仮処分を執行しました。京大は「寮生以外の者が現棟を占有していることが確認された」として退去を求めました。

吉田寮現棟に係る債務者不特定の占有移転禁止の仮処分の執行について

吉田寮自治会は、正当な居住権がある寮生であり、事実誤認、として3月5日に抗議声明を出し、あらためて話し合いによる問題解決を求めています。

抗議声明

 

吉田寮とつながる会が声明を出しました

東京で会合を続けておられる「吉田寮とつながる会」より、声明を発表したとの連絡をいただきました。以下転載いたします。

声明

吉田寮に注目する全ての市民の皆さん

はじめに

私たち「吉田寮とつながる会」は、吉田寮の元寮生を中心として、吉田寮へ心を寄せる市民たちにより、2018年10月に結成されました。以降、吉田寮に関する事態を注視し、その推移を見守ってきました。

一昨年12月19日に突如、期限を切った吉田寮からの学生の退去を命ずる、京都大学の決定が発表されました。以降、吉田寮自治会との話し合い中の恫喝、話し合いの一方的な打ち切り、裁判手続き、そして2月12日の役員会コメントの発表と、わずか1年余りの間に、事態が急速に展開しています。私たちは、今般の京都大学役員会の吉田寮に対する一連の行動は、以下にあげる点から看過できないものと考え、下記のとおり意見を述べます。

意見の趣旨

  • 私たちは、京都大学役員会の横暴な態度を残念に思い、105年の自治の歴史を刻んできた吉田寮が今こそその自治の価値をかけて高圧的な京都大学役員会と交渉しようとしていることを支持します。
  • 私たちは、自由の学府であり豊かな学内自治を実践してきた京都大学の伝統が、京都大学役員会によって蹂躙されていることに失望し、ただちに本来の職務である京都大学の特性を生かした、自由と責任を自ら任じ、より良き世界の実現のための研究・教育環境の整備を果たすことを求めます。
  • 私たちは、京都大学役員会が「法制度的権限」に基づくと主張する狭量で不当な決定とその実施を、憂慮し危惧します。
  • 私たちは、吉田寮に注目する全ての市民の皆さんに、京都大学役員会が行っている民主主義的手続きの破壊に注目し、抗議していただきますよう要請します。
  • 私たちは、吉田寮に注目する全ての市民の皆さんに、京都大学役員会の独断的な行為により様々な障害を受けながらも、豊かな創造性と人間性をもって対話を求め続け、より良き学生生活を実現しようと努めている吉田寮自治会の学生諸君への支持を要請します。

意見の理由

1.京都大学役員会による暴走

京都大学の「自由」とは、わずか8名から構成される役員会が「組織運営の決まり」に基づいて暴走してもよい「自由」でしょうか。決してそうではありません。実際に正統性が疑われる「決定」がなされました。当局の吉田寮に対する営為に対しては尾池和夫元総長や学内の教員からも驚きと、対話を促す声が上がっています。一般に、「組織運営の決まり」に基づく「合法的」な決定が、はたして正しい方向を促すかどうか、日ごろから構成員が吟味し、必要であれば修正を求めることは、民主主義的手続きの根幹をなします。正統性が疑われる「決定」については、構成員がその内容について異議申し立てや対話を求めても差し支えないと考えます。そして、京都大学の「基本理念」には「対話を根幹とする自学自習」とあります。暴走を止めて対話すべきと考えます。一方的に決めた通達に従わないことを理由に、相手との対話を認めない態度は、高圧的で傲慢といえます。そして、その圧力の前に思慮深く対話を求め、意見の異なるものとの共存を模索する吉田寮自治会のまっとうさを、心ある人々は感じています。

2.京都大学の話し合いの伝統の破壊

京都大学役員会のコメントでは、話し合いの相手を一方的に制限し指定し、役員会決定の受け入れを話し合いの条件としており、その横暴さに、私たちは言葉を失います。「対話を根幹」「教育研究組織の自治を尊重」「人権を尊重」と謳う京都大学の「基本理念」から著しく逸脱しているからです。役員会活動の根幹は「基本理念」であるにも関わらずです。僅か8名で構成される役員会が、京都大学の話し合いで物事を決め進めてゆく伝統、多くの困難と葛藤を経て培ってきた大学自治の伝統を、簒奪し破壊する資格も、権限もないと、かつて京都大学に学び、あるいは現在も大学の活動を注視している私たちは強く主張します。「基本理念」を軽視し、このような不当な決定がなされ実行に移されているとき、私たちは、京都大学の自治の伝統、すなわち意見の異なるものも仲間として認め、相互の粘り強い対話の努力により合意を導き出す伝統の意義を再確認し、これを守らなければならないと考えます。

3.社会的経済的弱者への配慮の欠如

大学はそこで学ぶ学生を守らなければなりません。困難な状況に置かれている学生がいれば、大学はそれを慮るものでなければなりません。しかし京都大学役員会は、これと逆行しその様な学生生活を切り捨てる方向に進んでいます。

経済的な困難を抱えてなお、勉学と研究に勤しむ学生への敬意を欠いた圧迫は、彼らを困難な状況に追い詰めます。未来の世界に貢献すべくそれぞれのやり方で努力している若者を、大切でかけがえのない存在として応援し見守ることこそ、人生の先輩である役員会の役割であると考えます。

まとめ

私たちは、京都大学役員会が、一方的な決定の押しつけ、決定内容の過激化を反省し、撤回すること、そして吉田寮自治会と真摯に敬意をもって話し合いを再開、継続することを求め、ここに以上の意見を表明します。

2019年2月16日

吉田寮とつながる会

 

市民と元寮生の集会を開催しました

2月23日(土)の午後、京都市左京区の京都教育文化センターで、「京都府知事、京都市長に京都大学吉田寮の存続支援を求める市民と元寮生の集会」を開催しました。

集会には元寮生の会のメンバーのほか、市民や寮生、関係者ら20人の参加がありました。元寮生の会の奈倉道隆代表より、「情勢は大きく動いているが、21世紀に吉田寮を活かすという最大の目標に向けて、皆さんのお知恵を拝借したい」とあいさつ。京大当局が出した「吉田寮の今後のあり方について」(2月12日)、吉田寮自治会の声明(2月20日)について説明があり、元寮生の会が提案している京都府知事と京都市長への支援要請行動について、参加者で議論しました。

以下の要請書(案)が提案され、行動の実効性について意見を交わしました。京大当局への再度の要請が必要であるとの認識も共有されました。当面の行動として、開かれた集会の場で市民の賛同も得たことも口頭で申し添えることとした上で、元寮生の会の名で文書を京都府知事と京都市長に提出することについて承認が得られました。細かな文言の修正も含め、提出について理事が一任を得たと考えております。

京都府知事、京都市長に京都大学吉田寮の存続支援を求める要請書

今後、理事らで日程調整の上、3月中旬までに、府と市などに提出する予定です。

吉田寮自治会が声明を発表しました

京都大学は2019年2月12日、記者会見をして、条件付きで西寮(新棟)での居住を認める方針を明らかにし、ホームページに以下の文書を掲載しました

吉田寮の今後の在り方について

吉田寮自治会は、京大の新たな方針提示を受け、2月20日付けで、以下の二つの文書を声明として発表しました

吉田寮自治会公式サイト https://sites.google.com/site/yoshidadormitory/

学内外に向けたアピールが190220吉田寮の未来のための私たちの提案

山極総長と川添理事へ要求が吉田寮自治会からの意見表明と要求

 

京都府知事、京都市長に京都大学吉田寮の存続支援を求める市民​と元寮生の集会を開催します

吉田寮を巡る情勢の急展開を踏まえ、2月23日(土)午後2時から京都教育文​化センター(京都市左京区聖護院川原町4の13)2階204号室​で、 「京都府知事、京都市長に京都大学吉田寮の存続支援を求める市民​と元寮生の集会」を、元寮生の会主催で開催します。

多様な世代の卒寮生で2017年10月に結成した「元寮生の会」は、「大学の街 京都」を象徴​する建築物といえる京都大学吉田寮の存続のために、京都府知事​・京都市長に対し、吉田寮存続への支援を、賛同する市民とともに要請し​ようと考えています。23日の集会で、今後の行動について意見交換をしたいと考えております。

昨年9月から続けている「『京都大学学生寄宿舎吉田​寮の保全と活用』を求める卒寮生と市民の共同声明」に​引き続く取り組みです。 「共同声明」の呼びかけも継続しており、2月23日で第三次集約をして​、第三次分集約分のお名前も追記した「共同声明」を京都大学へ提​出する予定です。これまで、2018年9月と12月の2回にわたって提出​しています。

190223集会チラシ

吉田寮に占有移転禁止の仮処分

 京大が、吉田寮の新しい西寮をのぞく現棟と食堂について、明け渡しを求める訴訟の前提となる「占有移転禁止の仮処分」を昨年12月20日に京都地裁に求めました。京都地裁は認め、1月17日に執行しました。現棟の居住者を根拠が不明確なまま「41人」とし、新たな入居を禁じています。同日、川添信介理事が記者会見を行い、「寮生は懸命な判断をしてほしい」と発言しています。吉田寮自治会との話し合いを一方的に打ち切った上で法的手段を講じる京大当局の対応には、報道機関からも疑問が出されています。

吉田寮主催の集会でアピールしました

 京大当局による一方的な吉田寮からの退去期限の通告から、ちょうど1年となる12月19日に、吉田寮自治会主催の集会「踊らされるな、自分で踊れ 大学の今とこれからを語る集い」が京大吉田キャンパスで開かれました。昼の部(時計台前)と夜の部(法経第7教室)があり、それぞれの部で元寮生の会もアピールをしました。

 夜の部は午後6時半から9時まで行われ、150人を超える参加がありました。まず、吉田寮自治会から経過説明と、確約の一方的破棄や築3年の西寮からも退去を求めていることなど、大学当局が行っていることについて問題点の指摘があり、吉田寮自治会として▽あくまで話し合いを求める▽老朽化した現棟の補修も含めた検討を求める▽寮自治の継続-の3点について主張を続けるとしました。

 続いて、以下の団体・個人からのアピールがありました。
 吉田寮に住む留学生、市民と考える吉田寮再生100年プロジェクト実行委員会、元寮生の会、大学院の留学生、地塩寮生、琉球骨返還訴訟を進める松島泰勝・龍谷大教授(ビデオメッセージ)、「北方領土の日」反対!「アイヌ新法」実現!全国実行委員会、京大職組の高山佳奈子・法学研究科教授、理学部学生、一橋大中和寮自治会(資料代読)

 琉球やアイヌの遺骨収奪や731部隊の問題から逃げ回り、憲法違反の可能性もある立て看規制を強行する京大当局の問題点が浮き彫りとなりました。吉田寮の問題とともに、それぞれが関連する問題であり、京大の劣化を表していることが示された集会でした。
 
 留学生が置かれた現状についてアピールした吉田寮の留学生の原稿を転載いたします。

 つながることの大切さを感じた集会でした。吉田寮で今後予定されている催しや企画を載せた「吉田寮イベントカレンダー」を転載いたします。ぜひ吉田寮にお立ち寄りください。

アピール1
アピール2
イベント1
イベント2

共同声明2次集約を提出しました

 元寮生の会が呼び掛けさせていただいた、京都大学学生寄宿舎吉田寮の保全と活用を求める卒寮生と市民の共同声明につきまして、1次集約として642人の連名の文書を、9月27日に山極総長と川添理事に提出しました。共同声明をはじめとした、寮生との対話を求める多くの人の声にもかかわらず、大学当局は退去期限翌日の10月1日、寮生に退去を求める通告書を吉田寮の玄関などに貼り付け、電話回線を遮断しました。吉田寮自治会との話し合いに一切応じない当局の姿勢に抗議するチラシを元寮生の会として発行するとともに、共同声明への連名をあらためて募り、2次集約として185人の連名をいただきました。1次と2次あわせて、827人となります。協力をいただいた皆様に感謝申し上げます。
 
 吉田寮からの寮生の退去を一方的に求めた京大当局による「吉田寮生の安全確保についての基本方針」(2017年12月19日)からちょうど一年となる12月19日、吉田寮自治会が京大の現状を問う集会を開きました。元寮生の会もアピールの時間をいただき、同日午後に山極総長と川添理事宛の2次集約の連名の文書を京大厚生課に届けました。

 会からは4人が窓口に出向きました。対応した職員は、1次集約は総長と理事に届いており、今回も届けるとのことでした。会のメンバーからは、寮生との対話を求めるとともに、警察の学内導入など取り返しの付かない事態を招く可能性がある対処を避けてもらいたい旨の要望を伝えました。

抗議と賛同要請

京大ホームカミングデーで情宣をしました

11月3日(土)の京大ホームカミングデーで、京大時計台での養老孟司氏の講演(午前10時から)の参加者に向けて、午前9時半から10時すぎまで、京大正門前の歩道で、元寮生の会が呼び掛けている共同声明のチラシの配布と情宣活動を行いました。
卒寮生6人が集まり、ちらしは7、80枚くらいでしょうか、正門から入構する卒業生や家族らに手渡しを行いました。反応は総じて良かったです。
小型のトラメガで情宣をしました。出力が小さいので聞き取りずらかったと思いますが、存在感は示せたのではないかと思います。
定期的に外にアピールすることが大切と、あらためて思いました。
今後のアイデアをいただけましたらありがたいです。よろしくお願いいたします。

吉田寮からの退舎通告に抗議し、共同声明への連名を募ります

山極寿一総長と川添信介理事をはじめとする大学当局が吉田寮自治会との誠実な話し合いを進めない状況を憂慮し、「京都大学学生寄宿舎吉田寮の保全と活用」を求める卒寮生と市民の共同声明」(裏面)を、卒寮生と市民に広く呼びかけ、642人の連名で、9月27日に京大当局に提出しました。賛同をいただいた方に感謝をいたします。

当会の642人の共同声明に限らず、さまざまな方が吉田寮について憂慮する声を届けているにもかかわらず、京大当局は10月1日、寮生への退舎の通告書を大学職員が吉田寮の玄関などに無言で貼るとともに、寮の事務員を引きあげ、火事の通報や急病などの連絡などでも必要不可欠なライフラインである電話回線を通告なく遮断しました。学生を守り育てる教育機関として、京大当局のあるまじき対応に、強く抗議の意を表します。

吉田寮生が中心となり、吉田寮の保存活用と歴史文化の継承に向けた提案を募り、「市民と考える吉田寮再生100年プロジェクト」のシンポジウムが9月23日に京大で開催されました。1913年築造の木造「現棟」を保全活用するアイデアを広く市民と構想し、さまざま提案がなされました。「元寮生の会」も後援し、シンポに160人が参加し熱い議論がかわされました。

吉田寮の保全と活用、そして寄宿舎としての存続は、京大の学内にとどまらない願いになっています。私たちは共同声明への賛同をさらに募り、京大当局に吉田寮の保全活用と学生との対話を求めていきます。賛同していただけるのでしたら、会まで氏名と住所(市町村)をメール(yoshidaryo_op@yahoo.co.jp)をお願いいたします。11月末に二次集約し京大に提出します。

ノーベル賞を受賞した吉田寮出身の赤崎勇氏は、矛盾を高い次元で解決する「アウフヘーベン」を京大で学んだと語っています。私たちは吉田寮に心を寄せていただいている市民や大学関係者と共になって、京大当局に矛盾や困難を超える「京大らしい解決」を求めていきます。

抗議と賛同要請(A4)

抗議と賛同要請(B5)