吉田寮とつながる会が声明を出しました

東京で会合を続けておられる「吉田寮とつながる会」より、声明を発表したとの連絡をいただきました。以下転載いたします。

声明

吉田寮に注目する全ての市民の皆さん

はじめに

私たち「吉田寮とつながる会」は、吉田寮の元寮生を中心として、吉田寮へ心を寄せる市民たちにより、2018年10月に結成されました。以降、吉田寮に関する事態を注視し、その推移を見守ってきました。

一昨年12月19日に突如、期限を切った吉田寮からの学生の退去を命ずる、京都大学の決定が発表されました。以降、吉田寮自治会との話し合い中の恫喝、話し合いの一方的な打ち切り、裁判手続き、そして2月12日の役員会コメントの発表と、わずか1年余りの間に、事態が急速に展開しています。私たちは、今般の京都大学役員会の吉田寮に対する一連の行動は、以下にあげる点から看過できないものと考え、下記のとおり意見を述べます。

意見の趣旨

  • 私たちは、京都大学役員会の横暴な態度を残念に思い、105年の自治の歴史を刻んできた吉田寮が今こそその自治の価値をかけて高圧的な京都大学役員会と交渉しようとしていることを支持します。
  • 私たちは、自由の学府であり豊かな学内自治を実践してきた京都大学の伝統が、京都大学役員会によって蹂躙されていることに失望し、ただちに本来の職務である京都大学の特性を生かした、自由と責任を自ら任じ、より良き世界の実現のための研究・教育環境の整備を果たすことを求めます。
  • 私たちは、京都大学役員会が「法制度的権限」に基づくと主張する狭量で不当な決定とその実施を、憂慮し危惧します。
  • 私たちは、吉田寮に注目する全ての市民の皆さんに、京都大学役員会が行っている民主主義的手続きの破壊に注目し、抗議していただきますよう要請します。
  • 私たちは、吉田寮に注目する全ての市民の皆さんに、京都大学役員会の独断的な行為により様々な障害を受けながらも、豊かな創造性と人間性をもって対話を求め続け、より良き学生生活を実現しようと努めている吉田寮自治会の学生諸君への支持を要請します。

意見の理由

1.京都大学役員会による暴走

京都大学の「自由」とは、わずか8名から構成される役員会が「組織運営の決まり」に基づいて暴走してもよい「自由」でしょうか。決してそうではありません。実際に正統性が疑われる「決定」がなされました。当局の吉田寮に対する営為に対しては尾池和夫元総長や学内の教員からも驚きと、対話を促す声が上がっています。一般に、「組織運営の決まり」に基づく「合法的」な決定が、はたして正しい方向を促すかどうか、日ごろから構成員が吟味し、必要であれば修正を求めることは、民主主義的手続きの根幹をなします。正統性が疑われる「決定」については、構成員がその内容について異議申し立てや対話を求めても差し支えないと考えます。そして、京都大学の「基本理念」には「対話を根幹とする自学自習」とあります。暴走を止めて対話すべきと考えます。一方的に決めた通達に従わないことを理由に、相手との対話を認めない態度は、高圧的で傲慢といえます。そして、その圧力の前に思慮深く対話を求め、意見の異なるものとの共存を模索する吉田寮自治会のまっとうさを、心ある人々は感じています。

2.京都大学の話し合いの伝統の破壊

京都大学役員会のコメントでは、話し合いの相手を一方的に制限し指定し、役員会決定の受け入れを話し合いの条件としており、その横暴さに、私たちは言葉を失います。「対話を根幹」「教育研究組織の自治を尊重」「人権を尊重」と謳う京都大学の「基本理念」から著しく逸脱しているからです。役員会活動の根幹は「基本理念」であるにも関わらずです。僅か8名で構成される役員会が、京都大学の話し合いで物事を決め進めてゆく伝統、多くの困難と葛藤を経て培ってきた大学自治の伝統を、簒奪し破壊する資格も、権限もないと、かつて京都大学に学び、あるいは現在も大学の活動を注視している私たちは強く主張します。「基本理念」を軽視し、このような不当な決定がなされ実行に移されているとき、私たちは、京都大学の自治の伝統、すなわち意見の異なるものも仲間として認め、相互の粘り強い対話の努力により合意を導き出す伝統の意義を再確認し、これを守らなければならないと考えます。

3.社会的経済的弱者への配慮の欠如

大学はそこで学ぶ学生を守らなければなりません。困難な状況に置かれている学生がいれば、大学はそれを慮るものでなければなりません。しかし京都大学役員会は、これと逆行しその様な学生生活を切り捨てる方向に進んでいます。

経済的な困難を抱えてなお、勉学と研究に勤しむ学生への敬意を欠いた圧迫は、彼らを困難な状況に追い詰めます。未来の世界に貢献すべくそれぞれのやり方で努力している若者を、大切でかけがえのない存在として応援し見守ることこそ、人生の先輩である役員会の役割であると考えます。

まとめ

私たちは、京都大学役員会が、一方的な決定の押しつけ、決定内容の過激化を反省し、撤回すること、そして吉田寮自治会と真摯に敬意をもって話し合いを再開、継続することを求め、ここに以上の意見を表明します。

2019年2月16日

吉田寮とつながる会

 

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