連続セミナーが開かれました

3月17日(日)に京大文学部新館第2講義室で、「21世紀の京都大学吉田寮を考える実行委員会」の主催で、第6回の公開連続セミナーが開かれ、寮生や市民ら40人の参加がありました。

「市民と考える吉田寮再生100年プロジェクト」の再生デザイン部門と継承プログラム部門で、それぞれ最注目の提案となった細入夏加さんと中尾芳治さんが、それぞれの提案について説明し、どのように吉田寮を保全し活用していくか、意見交換が行われました。

中尾さんは、自らが吉田寮に在寮した1950年代の写真をスライドで紹介し、当時の寮生の生活について話されました。居室部分で炊事することはなく、電化製品は電気火鉢のみだったとのことです。中尾さんは提案で、「建物の保全のためには、居室本来の使い方に戻すことが必要」とし、中寮の地下に新たに炊事や洗濯、シャワーなどを整備して、1階を交流スペースとしての多目的集会室や、資料館として寮の歴史を紹介する「展示室」の開設することを提案されました。

コメンテーターとして、吉田寮を調査し、寮食堂が現存最古の文部省営繕設計建築物であることを明らかにした建物家の山根芳洋さんが参加されました。山根さんは「一部が焼失した中寮は価値が低いのではなく、学生を育ててきた歴史の中で位置づけ、吉田寮全体として捉えたい」と話されました。会場からも、寮の運営や寮自治を、歴史的経緯を踏まえて捉えたいとの意見がありました。

京大がまとめた「キャンパスマスタープラン2018」で、吉田寮が歴史的建造物、歴史的資源として位置付けられていないことについて問題視する意見も出ました。山根さんは、京大をはじめとする日本の大学は、「時計台など大学の威信を表すものを歴史的建物としており、人の歴史、学生の歴史そのものである寮はないがしろにされている」と指摘されました。

元寮生は、学生運動のさなかでも吉田寮の中では暴力がふるわれないなど、寮生として、仲間としての意識があったことを話されましたが、「京都市民からみれば吉田寮は学生運動のイメージが強くて敬遠されているのでは」との意見もありました。

吉田寮自治会からの報告もありました。大学当局との話し合いが進むのであれば5月末に現棟(木造)から寮生が退去する可能性がありますが、「寮生が退去した以降のビジョンを大学に提案できるよう、自治会として案を練りたい」としました。

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