公開学習会「吉田寮と京大」学第8回を開催しました

公開学習会「吉田寮と京大」学の第8回「吉田寮現棟の自力補修活動について 保存・活用に向けた基礎知識(2)」を2月4日に京大楽友会館で開催いたしました。

寮生から、自力補修に至る経過と補修の概要、ひさしと扉の補修の詳細について報告がありました。

木造建築の現棟は、雨漏りの修繕など日常的なメンテナンスが不可欠であり、2018年の台風で北寮の屋根などがで破損するなど早急に処置が必要になっていたにもかかわらず大学当局が補修を怠ったため、2022年8月に吉田寮自治会が「これ以上当局が補修を怠るなら、現棟の屋根の補修をはじめ自力で行わざるを得ない」と当局に話し合いと補修実施を要求しました。学内のどのような部署からか不明の文書回答で「現棟の補修をおこなうことはありません」「許可なく補修する行為を認めません」と拒否したため、同年9月に自治会は自力補修に踏み切りることを発表しました。

報告した寮生は「自らの補修義務を放棄した上で、やむを絵図当事者が行う補修すら禁止することこそ最も無責任な行為では」と話しました。

詳しい経緯は京大吉田寮公式サイトを参照

自力補修は、北寮の屋根の補修(ブルーシート交換と瓦や小屋などの補修など、応急処置)のほか、土壁や建具、ひさし、床(床下部材交換など)、台所など各所に及び、ツタの除去や樹木の剪定、倒木処理(シロアリ対策)、照明交換なども行われました。扉は、NPO法人「古材文化の会」などの協力を得て、古建築から取り外された古材扉を再活用したとのことです

吉田寮自治会が補修費のカンパを呼び掛けており、現在も継続しています

現棟屋根の自力補修を実施することと、カンパの呼びかけについて

報告した寮生から
「伝統工法の木造建築は、損傷状況を自分たちで把握したり、補修がやりやすい。自主管理に適している」
「建築物としての歴史的価値、文化的価値だけでなく、多くの人がこの建物でさまざまな活動をし、この建物に痕跡を刻んできた。こたつが置かれた受付など、建築当初には想定しなかった風通しの良い使い方もしている。(取り壊して)建て直したら、ゼロからの再構築は難しい」
など現棟へ思いが語られました。

学習会では、北杜夫が旧制松本高時代についてつづった「どくとるマンボウ青春記」を取り上げて、旧制高校の学寮と吉田寮、ストームなどについて報告者と参加者が語り合いました。奈倉会長は「入寮した1960年当時には旧制高の人がまだいて、影響を受けていた」と話し、長い歴史の中で吉田寮の文化が生まれて受け継がれてきたことがあらためて示されました

 

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