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訴訟の第1回口頭弁論がありました

京都大が吉田寮の寮生20人に対して、現棟と食堂の明け渡しを求めた訴訟の第1回口頭弁論が7月4日(木)午前11時半から、京都地裁でありました。寮生側は請求棄却を求めた上で、「訴訟は強権の発動で、大学が学生を軽視し、対話を一方的に拒絶している」と陳述。その後の記者会見で寮生たちは、あらためて京大当局に対し、訴訟の取り下げと話し合いによる解決を求めました。

同日午後に京都教育文化センターで、同日夜に京大総合人間学部棟で報告会があり、吉田寮自治会よりこれまでの経緯が報告され、弁護士と寮生が裁判について説明しました。

訴訟における京大の主張は、▽京大が寮生と自治会に入寮募集の法的権限を授与したことはなく、寮生に吉田寮の占有権はない▽京大と寮生に在寮契約があったとしても、賃料として評価できない低額であり、賃貸借契約に類似する契約ではない(サービスの提供であって借り主としての占有権はないとの主張)▽現棟は老朽化しており、生命の危険があることから大学の裁量で契約を解除できる

吉田寮生の弁護団の主張は ▽寄宿料が支払われているにもかかわらず占有権はないとするのは矛盾▽契約が解除できる法的根拠が示されていない-などで、京大の請求内容に対して6点の説明を京大があらためて行い、主張の内容を明確にすることを京都地裁に求めました。

次回の口頭弁論は10月7日(月)午後で、弁護団は、これまで京大と吉田寮が積み上げてきた団交確約文の内容を根拠に、京大当局が一方的に提起した請求は合意違反として棄却を求めるとのことです。

弁護団と吉田寮自治会は、公判の傍聴を呼び掛けています。

京大に理事一同による声明を提出しました

京大当局による吉田寮現棟の明け渡し請求訴訟の提起を受け、元寮生の会の理事一同の連名で、山極壽一総長と川添信介副学長に向けた「京都大学による吉田寮への対応を憂慮し、学生との話し合いを求める声明」をまとめました。6月20日に理事2人が京大に出向き、教育推進・学生支援部に声明文を提出しました。

さらに、 「京都大学学生寄宿舎吉田寮の保全と活用」を求める卒寮生と市民の共同声明への連名の3次集約分116人も提出し、山極総長と川添副学長に届けるよう求めました。共同声明への連名は、計943人となりました。ありがとうございました。

京大が明け渡し請求訴訟を提起

京都大学が4月26日、吉田寮現棟(新棟=西寮をのぞき、食堂を含む)に居住しているとした寮生20人に対して、明け渡し請求訴訟を京都地裁に提起しました。同日に会見した川添信介理事・副学長は「危険な状態をこれ以上先延ばしにできない」「学生の安全確保のため、やむなく提訴に踏み切った。思い決断だった」と説明。京大のホームページで現棟に居住している全ての人に対して即刻の退去を求めています。

京大当局による提訴に対して、吉田寮自治会が5月5日に声明文を出しました。話し合いによる解決ではなく法的措置に訴えたことに抗議し、権力濫用と批判するとともに、話し合いの再開を求めています。

声明文1 声明文2

食堂の利用する市民らでつくる吉田寮食堂・厨房使用者合同緊急会議も5月7日に緊急抗議声明を出しました。

元寮生らが賛同人となり、「京都大学への要求及び共同声明」が出され、賛同を呼び掛けています。

公判は7月4日午前11時半から京都地裁101号法廷(大法廷)で第1回口頭弁論があり、吉田寮自治会が傍聴と報告集会への参加を呼び掛けています。

傍聴呼びかけ

連続セミナーが開かれました

3月17日(日)に京大文学部新館第2講義室で、「21世紀の京都大学吉田寮を考える実行委員会」の主催で、第6回の公開連続セミナーが開かれ、寮生や市民ら40人の参加がありました。

「市民と考える吉田寮再生100年プロジェクト」の再生デザイン部門と継承プログラム部門で、それぞれ最注目の提案となった細入夏加さんと中尾芳治さんが、それぞれの提案について説明し、どのように吉田寮を保全し活用していくか、意見交換が行われました。

中尾さんは、自らが吉田寮に在寮した1950年代の写真をスライドで紹介し、当時の寮生の生活について話されました。居室部分で炊事することはなく、電化製品は電気火鉢のみだったとのことです。中尾さんは提案で、「建物の保全のためには、居室本来の使い方に戻すことが必要」とし、中寮の地下に新たに炊事や洗濯、シャワーなどを整備して、1階を交流スペースとしての多目的集会室や、資料館として寮の歴史を紹介する「展示室」の開設することを提案されました。

コメンテーターとして、吉田寮を調査し、寮食堂が現存最古の文部省営繕設計建築物であることを明らかにした建物家の山根芳洋さんが参加されました。山根さんは「一部が焼失した中寮は価値が低いのではなく、学生を育ててきた歴史の中で位置づけ、吉田寮全体として捉えたい」と話されました。会場からも、寮の運営や寮自治を、歴史的経緯を踏まえて捉えたいとの意見がありました。

京大がまとめた「キャンパスマスタープラン2018」で、吉田寮が歴史的建造物、歴史的資源として位置付けられていないことについて問題視する意見も出ました。山根さんは、京大をはじめとする日本の大学は、「時計台など大学の威信を表すものを歴史的建物としており、人の歴史、学生の歴史そのものである寮はないがしろにされている」と指摘されました。

元寮生は、学生運動のさなかでも吉田寮の中では暴力がふるわれないなど、寮生として、仲間としての意識があったことを話されましたが、「京都市民からみれば吉田寮は学生運動のイメージが強くて敬遠されているのでは」との意見もありました。

吉田寮自治会からの報告もありました。大学当局との話し合いが進むのであれば5月末に現棟(木造)から寮生が退去する可能性がありますが、「寮生が退去した以降のビジョンを大学に提案できるよう、自治会として案を練りたい」としました。

吉田寮自治会が京大に要求書を提出しました

以下、寮生からの報告(3月25日)を転載します

本日吉田寮自治会は、14時に厚生課窓口に、添付の要求書を提出し、15時から、吉田寮玄関前で記者会見を行いました。
今回の要求書は、大学当局に対して、以下の2点を求めています。
1)5月末を目途とした現棟からの居住取りやめに向け、「食堂の継続使用について」、「現棟の維持管理について」といった項目を含む建設的な話し合いを吉田寮自治会と行うこと
2)吉田寮自治会はより良い寮自治のために京都大学が提案した新棟居住に際して提示した六条件それぞれについての根拠の説明を求める。また条件一つ一つを寮自治会とすり合わせる建設的な話し合いを設定すること
吉田寮自治会は2月20日、「 吉田寮の未来のための私たちの提案」及び「 表明ならびに要求」を発表し、大学に対して、これまでより譲歩した提案をしました
しかし、 大学側の回答は、「『現棟の老朽化対策に関する吉田寮自治会との建設的な話し合いを、早急に再開すること』に応じることはできない」というものでした。
上記の文書で大学は、新棟への居住条件云々を持ち出して現棟の老朽化対策に向けた話し合いを拒んだのでした。
今回、自治会から出す文書は、大学からの回答を踏まえ、退去に向けた準備を続けながら、あくまで話し合いを求めるというスタンスを表明するものです。

公開連続セミナー「21世紀の京都大学吉田寮を考える」(第6回)が3月17日に開かれます

21世紀の京都大学吉田寮を考える実行委員会主催で、公開連続セミナー「21世紀の京都大学吉田寮を考える」(第6回)が3月17日午後2時から開かれます。

会場は京都大学文学部新館第2講義室で、吉田寮再生提案についての発表と、現在の情勢を踏まえた意見交換が予定されています。

第6回開催要項_0309

京都府知事、京都市長への要望書提出を留保します

21世紀に吉田寮を活かす元寮生の会が呼び掛けた「京都府知事、京都市長に京都大学吉田寮の存続支援を求める要請書」につきまして、集会を開いて参加者の賛同を得て、3月中旬の提出を予定しておりました。

吉田寮自治会が「山極壽一総長と川添信介学生担当理事への表明ならびに要求」「吉田寮の未来のための私たちの提案」を発表し、話し合いによる問題解決を求めていたところでしたが、あらためて京都地裁による占有移転禁止の仮処分を行われ、現棟からの退去を京大当局が求めるなど、吉田寮をめぐる情勢はさらに緊迫しています。

大学当局と吉田寮自治会の話し合いの実現が重要となる局面にあって、元寮生の会が京都府知事と京都市長に申し入れを行うことがどれほどの意味があるかをあらためて検討すべきとの意見があり、理事で検討して、提出をいったん見送ることとしました。勝手な判断で申し訳ありませんが、今後の対応について、あらためてご意見をいただければと願います。

占有移転禁止の仮処分があらためて行われました

京都大学が、1月17日の占有移転禁止の仮処分で特定された寮生以外の者が現棟に居住しているとして、京都地方裁判所に「債務者不特定の占有移転禁止」の仮処分の執行を申し立て、同裁判所が3月4日に仮処分を執行しました。京大は「寮生以外の者が現棟を占有していることが確認された」として退去を求めました。

吉田寮現棟に係る債務者不特定の占有移転禁止の仮処分の執行について

吉田寮自治会は、正当な居住権がある寮生であり、事実誤認、として3月5日に抗議声明を出し、あらためて話し合いによる問題解決を求めています。

抗議声明

 

吉田寮とつながる会が声明を出しました

東京で会合を続けておられる「吉田寮とつながる会」より、声明を発表したとの連絡をいただきました。以下転載いたします。

声明

吉田寮に注目する全ての市民の皆さん

はじめに

私たち「吉田寮とつながる会」は、吉田寮の元寮生を中心として、吉田寮へ心を寄せる市民たちにより、2018年10月に結成されました。以降、吉田寮に関する事態を注視し、その推移を見守ってきました。

一昨年12月19日に突如、期限を切った吉田寮からの学生の退去を命ずる、京都大学の決定が発表されました。以降、吉田寮自治会との話し合い中の恫喝、話し合いの一方的な打ち切り、裁判手続き、そして2月12日の役員会コメントの発表と、わずか1年余りの間に、事態が急速に展開しています。私たちは、今般の京都大学役員会の吉田寮に対する一連の行動は、以下にあげる点から看過できないものと考え、下記のとおり意見を述べます。

意見の趣旨

  • 私たちは、京都大学役員会の横暴な態度を残念に思い、105年の自治の歴史を刻んできた吉田寮が今こそその自治の価値をかけて高圧的な京都大学役員会と交渉しようとしていることを支持します。
  • 私たちは、自由の学府であり豊かな学内自治を実践してきた京都大学の伝統が、京都大学役員会によって蹂躙されていることに失望し、ただちに本来の職務である京都大学の特性を生かした、自由と責任を自ら任じ、より良き世界の実現のための研究・教育環境の整備を果たすことを求めます。
  • 私たちは、京都大学役員会が「法制度的権限」に基づくと主張する狭量で不当な決定とその実施を、憂慮し危惧します。
  • 私たちは、吉田寮に注目する全ての市民の皆さんに、京都大学役員会が行っている民主主義的手続きの破壊に注目し、抗議していただきますよう要請します。
  • 私たちは、吉田寮に注目する全ての市民の皆さんに、京都大学役員会の独断的な行為により様々な障害を受けながらも、豊かな創造性と人間性をもって対話を求め続け、より良き学生生活を実現しようと努めている吉田寮自治会の学生諸君への支持を要請します。

意見の理由

1.京都大学役員会による暴走

京都大学の「自由」とは、わずか8名から構成される役員会が「組織運営の決まり」に基づいて暴走してもよい「自由」でしょうか。決してそうではありません。実際に正統性が疑われる「決定」がなされました。当局の吉田寮に対する営為に対しては尾池和夫元総長や学内の教員からも驚きと、対話を促す声が上がっています。一般に、「組織運営の決まり」に基づく「合法的」な決定が、はたして正しい方向を促すかどうか、日ごろから構成員が吟味し、必要であれば修正を求めることは、民主主義的手続きの根幹をなします。正統性が疑われる「決定」については、構成員がその内容について異議申し立てや対話を求めても差し支えないと考えます。そして、京都大学の「基本理念」には「対話を根幹とする自学自習」とあります。暴走を止めて対話すべきと考えます。一方的に決めた通達に従わないことを理由に、相手との対話を認めない態度は、高圧的で傲慢といえます。そして、その圧力の前に思慮深く対話を求め、意見の異なるものとの共存を模索する吉田寮自治会のまっとうさを、心ある人々は感じています。

2.京都大学の話し合いの伝統の破壊

京都大学役員会のコメントでは、話し合いの相手を一方的に制限し指定し、役員会決定の受け入れを話し合いの条件としており、その横暴さに、私たちは言葉を失います。「対話を根幹」「教育研究組織の自治を尊重」「人権を尊重」と謳う京都大学の「基本理念」から著しく逸脱しているからです。役員会活動の根幹は「基本理念」であるにも関わらずです。僅か8名で構成される役員会が、京都大学の話し合いで物事を決め進めてゆく伝統、多くの困難と葛藤を経て培ってきた大学自治の伝統を、簒奪し破壊する資格も、権限もないと、かつて京都大学に学び、あるいは現在も大学の活動を注視している私たちは強く主張します。「基本理念」を軽視し、このような不当な決定がなされ実行に移されているとき、私たちは、京都大学の自治の伝統、すなわち意見の異なるものも仲間として認め、相互の粘り強い対話の努力により合意を導き出す伝統の意義を再確認し、これを守らなければならないと考えます。

3.社会的経済的弱者への配慮の欠如

大学はそこで学ぶ学生を守らなければなりません。困難な状況に置かれている学生がいれば、大学はそれを慮るものでなければなりません。しかし京都大学役員会は、これと逆行しその様な学生生活を切り捨てる方向に進んでいます。

経済的な困難を抱えてなお、勉学と研究に勤しむ学生への敬意を欠いた圧迫は、彼らを困難な状況に追い詰めます。未来の世界に貢献すべくそれぞれのやり方で努力している若者を、大切でかけがえのない存在として応援し見守ることこそ、人生の先輩である役員会の役割であると考えます。

まとめ

私たちは、京都大学役員会が、一方的な決定の押しつけ、決定内容の過激化を反省し、撤回すること、そして吉田寮自治会と真摯に敬意をもって話し合いを再開、継続することを求め、ここに以上の意見を表明します。

2019年2月16日

吉田寮とつながる会

 

市民と元寮生の集会を開催しました

2月23日(土)の午後、京都市左京区の京都教育文化センターで、「京都府知事、京都市長に京都大学吉田寮の存続支援を求める市民と元寮生の集会」を開催しました。

集会には元寮生の会のメンバーのほか、市民や寮生、関係者ら20人の参加がありました。元寮生の会の奈倉道隆代表より、「情勢は大きく動いているが、21世紀に吉田寮を活かすという最大の目標に向けて、皆さんのお知恵を拝借したい」とあいさつ。京大当局が出した「吉田寮の今後のあり方について」(2月12日)、吉田寮自治会の声明(2月20日)について説明があり、元寮生の会が提案している京都府知事と京都市長への支援要請行動について、参加者で議論しました。

以下の要請書(案)が提案され、行動の実効性について意見を交わしました。京大当局への再度の要請が必要であるとの認識も共有されました。当面の行動として、開かれた集会の場で市民の賛同も得たことも口頭で申し添えることとした上で、元寮生の会の名で文書を京都府知事と京都市長に提出することについて承認が得られました。細かな文言の修正も含め、提出について理事が一任を得たと考えております。

京都府知事、京都市長に京都大学吉田寮の存続支援を求める要請書

今後、理事らで日程調整の上、3月中旬までに、府と市などに提出する予定です。